「習近平にドッグフードを喰わせろ!」。中国の国家主席を、アメリカがこれほど冷たく迎えたことはなかった。中国の主要都市で中国人と日本人駐在員に取材し、失速する中国経済の真相に迫った。

経済の死角

実名!中国経済「30人の証言」 
日系企業が次々撤退、大失速の真相~こんなに異変が起きていた  より引用


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中国経済は発育不良

9月25日、米ホワイトハウスでオバマ大統領と米中首脳会談に臨んだ習近平主席は、「中国経済は順調に7%成長している」と力説した。

だが9月23日に明らかになった中国の製造業の景況感を示すPMIは、47.0ポイント。リーマンショック直後以来の低水準となった。

中国経済の本当のところはどうなのか。本誌は今回、中国に暮らす30人にナマの声を聞いた。

「中国の景気は悪いなんてもんじゃない。以前は政府が、石橋を叩いて渡るような慎重かつ的確な経済政策を取っていたが、いまの政府が進めているのは、石橋を叩いて割る政策だ」(南楠・食品卸会社社長)

「多くの産業が生産過剰に陥っている。そして、中国経済を牽引する投資、輸出、消費のうち、GDPに占める投資の割合が高すぎる。これでは今後、多くの外資系企業が中国から撤退していくだろう」(孟旭光・外資系企業中国総代表)

「私は銀行員なので、普段からよく顧客の動向を見ているが、せっかく貯めた貯金を、株式投資でパーにしてしまった人がいかに多いことか。こうした現状では中国経済は今後さらに悪化していくだろう」(張微微・銀行員)

「中国経済は、一言で言えば発育不良の状態だ。そして財産を築いた人から、海外へ移住してしまう」(趙夢雲・テレビ記者)

こうした中、9月にひっそりと、北京北東部に建つパナソニックのリチウムイオン電池工場(従業員1300人)が、閉鎖された。日本企業研究院の陳言院長が解説する。

「このパナソニックの北京工場は、1979年に鄧小平が松下幸之助と建設を決めた外資系工場第1号でした。パナソニックはこれまで先端技術でリチウムイオン電池を生産してきましたが、中国市場における電池の過当競争の波に揉まれ、もはや撤退するしかなくなったのです」



20年いて、こんなのは初めて

パナソニックは、上海工場や山東工場なども閉鎖しており、中国事業を縮小する方向にある。7月29日に発表した4月~6月期決算では、純利益が前年同期比56.9%アップの595億円と、完全復活をアピールした。だがその陰に、創業者の松下幸之助が邁進した中国事業の縮小があったのである。

陳言氏が続ける。

「シチズンは中国で二つの工場を稼働させていましたが、そのうち一つを閉鎖しました。解雇された従業員は、1000人に上ります。ニュースにもなりませんが、中小零細の日系企業は、人件費や家賃の高騰などで、撤退が相次いでいます」

シャープ、ダイキン、TDK、ユニクロ……と、2015年に入って次々と、中国工場の撤退もしくは一部撤退を始めた。

8月12日には、天津で大爆発事故が発生。その損失額は、730億元(約1兆3700億円)に上ると報じられた。



現地に進出しているトヨタの自動車4700台がペシャンコになった映像(写真左)は、日系企業にも衝撃を与えた。同じく近くに工場を持つ日系大手化粧品メーカーの幹部が語る。

「わが社もあの爆発事故で、多大な損害を被りました。事故を起こした天津瑞海国際物流公司に損害賠償請求を出しましたが、交渉は一向に進んでいません。日本の本社ではこの事故を機に、天津工場の撤退を決断したのですが、天津市政府が認めてくれない。中国事業は、まさに進むも地獄、退くも地獄です」

日系企業が多い大連で日系の建設会社社長を務めるベテラン駐在員も、ため息交じりに語る。

「私は大連に20年以上住んでいますが、こんな不景気は初めてです。資金繰りが悪化して工事を途中ストップするビルや、完成しても買い手がいない幽霊マンションが続出しているのです。

不景気のあおりを受けて、かつて1万人以上いた日本人は、もう3分の1規模です。日本の駐在員仲間と話していても、取引先の中国企業が夜逃げした話ばかり。全権を持つオーナーが、会社や従業員を置き捨てて、忽然と消えるのです。大連に進出している韓国系企業も同じことをやっていますが、日系企業は律儀なので、損ばかり被っています」

香港に隣接した深圳で、日系企業向けコンサルタントを営む加瀬秀男氏も語る。


「深圳の日系企業も、ビジネス環境の悪化にともなって、香港にオフィスを移す会社が相次いでいます。

最近の特筆すべき傾向としては、日系企業に勤める大卒社員の質の低下です。考えてみれば、大卒の初任給が4000元(約7万5000円)で、同年齢の工事現場の作業員やレストランのウエイトレスの給料は、人手不足から5000元(約9万4000円)以上です。親が一人っ子に多大な教育費をかけても、報われない社会のため、大卒の若者たちがヤル気を失っているのです」

日系企業に起こっている「変化」について、中国日本商会の中山孝蔵事務局長補佐が解説する。

「今年に入って北京の日本商会から退会した企業は40社に上りますが、新規入会も32社あるので、撤退が相次いでいるとは一概に言えません。ただ、中国ビジネスの縮小は確かに起こっている。

中国国内で生産して、先進国に輸出するというビジネスモデルが、もはや成り立たなくなってきているのです。日本人駐在員向けのだだっ広いマンションは空きだらけで、北京日本人学校の生徒数も、数年前の600人台から400人台まで減っています」



軍事パレードで大損失

中国日本商会は、毎年春に、『中国経済と日本企業白書』を刊行している。その2015年版には、次のような記載がある。

〈2014年における日本の対中投資は前年比38.8%減の43億ドルとなり、2年連続減少した。2012年には過去最高74億ドルを記録したが、2013年後半から減少基調が続いている。

今後1~2年の事業展開の方向性について、「拡大」と回答した企業の割合は46.5%(前年比7.7ポイント減少)となっている。2011年と比べると、拡大が大きく減少(66.8%→46.5%)した〉

こうしたデータを見ても、明らかに日本企業は中国市場から「引き」に走っていることが分かる。中山氏が続ける。

「加えて、9月3日の抗日戦争勝利70周年の軍事パレードのようなことがあると、首都の経済機能がマヒしてしまいます。この日本商会が入っているオフィスビルも2日間、立ち入り禁止になりました」

香港紙『リンゴ日報』の試算によると、習近平主席の時代錯誤的な軍事パレードによって、215億元(約4040億円)もの経済損失を出したという。

北京在住8年という産経新聞中国総局の矢板明夫特派員が語る。


「私の携帯電話には、日本から来た客を連れて行くため、高級中華料理の店の番号がたくさん入っていますが、このところ電話しても『現在使われていません』という音声メッセージが出ることが多い。つまり、高級レストランが続々潰れているわけです。

また、不景気で銀行利用者が激減しているため、銀行での待ち時間が、めっきり減りました。以前は2時間待ち、3時間待ちでしたが、いまは30分も待たないで呼ばれます。

それから地方出張へ行って痛感するのが、大型トラックが減ったこと。どの地方も景気が悪いのです」

思えば5年前は、石炭バブルに沸く内蒙古自治区オルドスから北京まで車列が続き、わずか200kmの距離をトラックで20日間もかかるという世界最悪の渋滞が話題を呼んだ。だがいまや、オルドスは中国最大の「鬼城」(ゴーストタウン)と呼ばれていて、行き交う車すらほとんどない。

こうした中国経済の悪化を、当の中国人たちはどう捉えているのか。

「患者と話していると、景気の悪い話ばかりだ。商売は上がったりだし、とにかく商品の物流が減っているという。中国経済がここまで悪化している最大の原因は、政府が金融の自由化を断行しないことだ」(柴歓・漢方医)

「私の周囲の人々の衣食が目に見えて粗末になってきた。一番の問題は、社会的に飛躍していくチャンスが、ますます狭まってきていることだ」(劉・ITデザイナー)

「教師の給料は上がらないのに物価は高騰する一方だ。そのため消費を切り詰めるしかなく、もはやちょっとした旅行さえ贅沢になってきた」(王貞樺・中学教師)



「新常態」という言い訳

習近平政権の立場について、国務院(中央政府)の経済官僚である熊氏が説明する。

「習近平主席がアメリカ訪問でも述べたように、中国経済は悪化しているのではなく、『新常態』(ニューノーマル)という『新たな正常な状態』に移行したのです。新常態とは、高度成長から中高度成長へ、製造業中心からサービス業中心へ、そしてより環境に優しい節約型の成長へという移行です。その象徴である大型国有企業を改革し、新たな成長へと向かうのです」

湖南省の国有企業の経営者も語る。

「とにかく習近平主席の指示に従うこと。市場よりも党中央。企業経営の要諦はそれに尽きる」

国有企業は全国に1100社余りあり、国の基幹産業を握り、富の6割強を占めている。

熊氏が指摘した国有企業の改革に関しては、8月24日に習近平主席が「指導意見」(方針)を定めた。それは、国有企業の市場の寡占と、共産党の指導強化を謳ったもので、国民が期待した国有企業の民営化とは正反対の方向だった。

この「指導意見」が9月13日に発表されると、すぐさま市場が反応した。翌日の市場は失望感に覆われ、上海総合指数は2・67%も安い3114ポイントまで急落したのだった。

だが、こうした市場の反応を無視するかのように、国営新華社通信は9月17日、「私有化反対を旗色鮮明にしなければならない」と題した論評を発表し、習近平主席が進める社会主義の強化を後押ししたのだった。

上海ナンバーワンの名門校・復旦大学教授で、テレビニュースのコメンテーターとしてもお馴染みの馮瑋氏が指摘する。

「この新華社通信の論評には驚きました。確かに孔子も『富の分配が少ないことを心配せずに、分配が平等でないことを心配せよ』とは説いています。毛沢東時代も皆が貧しい公平な時代で、あの時代を懐かしむ人たちもいます。

しかし中国も含めて、どんな国でも経済が発展するということは、経済格差が生まれるということなのです」

馮瑋教授はその上で、中国が現在直面している経済状態について、次のように分析する。

「習近平主席は、アメリカを訪問する前日の9月21日に、『中国経済には下降圧力が存在する』と述べましたが、これは婉曲的な言い回しで、実際は真っ逆さまに落ちています。

私は常々、テレビや『微博』(ミニブログ)などで述べているのですが、中国経済の現状を判断するのに、経済学者の言うことを聞いたり、政府の経済統計を見たりする必要はないのです。

なぜなら、われわれ中国人にとって一番身近な二つの指標、物価と給料を比べれば一目瞭然だからです。私の周囲に、最近給料がものすごく上がった人は皆無ですが、誰もが物価の急上昇は体感している。

それを政府は、『経済の新駆動』とか『転換型発展』だとか、いろんな言葉を使って取り繕っていますが、要は『経済苦境に陥っている』という意味なのです」

馮瑋教授は、近未来の中国経済についても、悲観的にならざるを得ないという。

「中国が現在抱えている経済問題を、いかに解決していくかという道筋が、まったく見えてこない。低コストで製品を作って先進国に輸出するという経済モデルは崩壊したものの、それに代わる内需が拡大していないからです。

そのため、香港ナンバーワンの資産家、李嘉誠は、800億元(約1兆5000億円)もの資金を中国から撤退させようとしている。彼に代表されるように、外資の撤退が顕著になってきています。これでどうやって、中国経済が良くなるのでしょうか」




小学生の息子もアルバイト

中国で辛口コラムニストとして知られる丁力氏も、中国経済の現状を嘆く一人だ。

「不動産バブルが崩壊したところに、株バブルも崩壊した。これは『雪上加霜』(泣きっ面に蜂)というものです。

3ヵ月くらい前までは、私の『微信』(中国版LINE)仲間の主な会話は株に関することでしたが、いまや株の話はタブーです。私の周囲にはこの夏、株で大損こいた人が大勢いて、その中の一人は、小学生の息子に放課後、西洋人参売りのアルバイトをさせている始末なのです」

今後の中国経済についても丁氏は悲観的だ。

「現在中国では、今後の中国経済について、急降下していくという見方と、穏やかに落ちていくという2通りの見方があります。私は前者だと思っています。

その理由は、主に4点です。第一に、今夏の株価暴落に対する政府の政策を見ていると、常に後手後手に回っていて、稚拙な対策しか打てていないからです。第二に、今後ますます国有企業による市場の寡占化が進んでいき、民業が圧迫されることは明白だからです。

第三に、習近平政権の極端な反腐敗運動によって、その副作用である官僚たちの『怠工』(サボり癖)が顕著になってきています。第四に、環境保全や社会福祉といった高度経済成長時代に先送りしてきた問題のツケが、今後一気に襲ってくるからです。こうしたことを勘案すると、どうしても楽観的な気分にはなれないのです」

上海人民出版社の曹楊編集長は、マスコミによる影響について語る。

「いま中国メディアは、中国経済に対する悲観論一色で、それを見た人々は、ますます将来を不安視するようになっています。確かにいまの中国経済は底に来ていて、しかも底はしばらく続くのかもしれませんが、中国経済が崩壊することはないでしょう。昨今のマスコミ報道は、煽りすぎです」

もう一人、南部の広東省を代表する高級紙『時代週報』の張子宇編集委員も、「負の連鎖」について語る。

「つい数ヵ月前までは、オフィスやマンションの1階でエレベータを待っている間にも、人々はスマホで株価に見入っていたものです。もはやそんな光景は皆無です。

中国経済を俯瞰すると、ほぼ全産業が沈滞する中で、IT産業だけが創業ラッシュに沸いている。それで猫も杓子もIT産業を目指し、それによって社会がさらにいびつで不安定になっていくという状況です。

そして経済が悪化すればするほど、毒食品を作る人が増えたりして、それがまた経済を停滞させる要因となる。つまりいまの中国では、様々な意味で、負の連鎖が起こっているのです」




食いつなぐのに必死

張編集委員が指摘するように、IT産業は、いまや製造業に代わって、中国経済の唯一の頼みの綱と言っても過言ではない。9月22日から訪米している習近平主席は、「BAT」(バイドゥ、アリババ、テンセント)と呼ばれる3大IT企業の創業者たちを同行させた。

元日本銀行北京事務所長で現在、NTTデータ投資チーフストラテジーオフィサーの新川陸一氏(北京在住)が語る。

「中国のインターネットユーザーは、約6億5000万人もいます。IT産業の発展は目覚ましく、昨年の名目GDPの2割を超す規模に育っています。中国経済は当面、現在の『まだら模様の景気』が続くでしょうが、IT関連の消費が、景気下支え材料として続くと見ています」

前出の陳言氏も、IT産業に期待する一人だ。

「私のオフィスは『中関村』(北京のシリコンバレー)にありますが、付近の喫茶店は投資家と、アイデアを持った若者たちとの交流の場となっています。彼らは2万元(約38万円)くらいを手にして、次々に起業していくのです。

李克強首相が先日、『中国は1日1万社が起業している』と述べていました。日本は全国で600万社ですが、中国は2年で600万社が誕生しているのです。この活力に中国の未来を感じます」

他にも、少数ながら楽観主義者もいた。

「北京で日本料理店を経営しているが、折からの日本旅行ブームのおかげで、千客万来の状態。いま店舗を広げて改装中だ」(張煥利・日本料理店経営者)

「私の周囲は、7対3で景気のいい人が多いし、富裕層は相変わらず豪華な家に住み、高級車を乗り回している。中国はいまだに世界第2位の経済大国なのだし、IT産業に期待していいと思う」(陳旭・ファッションデザイナー)

「習近平政権は、今年初めから、毎月の年金を580元(約1万1000円)も引き上げてくれた。周囲も皆、ありがたがって、満足な老後を過ごしている」(李便新・大学名誉教授)

その一方で、今後のIT産業の発展に疑問を持つ向きもある。

「中国では『BAT』がサクセス・ストーリーの象徴のように持て囃されているが、バイドゥはグーグルの、アリババはアマゾンの、テンセントはホワッツアップのそれぞれパクリではないか。今がピークだろう」(呂之言・エッセイスト)

「IT産業に期待したって、そんなものはまた一つの新たなバブルに過ぎない。世界に通用する自主ブランドを作れない限り、中国経済の未来はない」(巴一・広告会社社長)

他にも、様々な職業の中国人に、中国経済に関するホンネを聞いた。

「中国経済が発展できないのは、実力ではなくコネばかりですべてが決まる社会だからだ。それでも、ギリシャよりはマシだろうが」(肖揚・広告会社勤務)

「政府の過度の金融緩和によって、インフレを招いた。それで製造業が打撃を受けたのだ」(毛傑・大学博士課程)

「中国の企業は、経営者と社員との関係が悪すぎる。このことが、中国経済が落ち込んでゆく最大の原因だ」(謝林玲・大型国有企業社員)

「3年前まで国有企業には手厚い福利厚生があったが、習近平時代になってすべて消え、初任給も毎年1000元ずつ減っている。それで優秀な若者から辞めていく」(胡麗芳・別の大型国有企業社員)

「中国人は、以前は懸命に働いて生活を向上させようとしていたが、いまや懸命に働いて何とか食いつなごうとしている。子供のいる家庭は悲惨だ」(孫江韵・設計士)

こうした声を総合すると、「習近平不況」はやはり当分、収まりそうにない。

「週刊現代」2015年10月10日号より



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時事ドットコム

首都東京の鉄道の大動脈、山手線などJR沿線でケーブル火災が相次いでいる。今月に入り線路脇で起きた4件に加え、JRの変電所でもケーブルが焼けていたことが29日、新たに判明した。JR東日本関係者は「ケーブル火災は年に1回あるかどうか。異例の頻度だ」と話す。警視庁は警戒を強めるとともに、連続放火の可能性もあるとみて捜査している。
 捜査関係者によると、山手線火災の4日前の23日午後8時ごろ、JR東の品川変電所(東京都品川区)で出火。敷地内にあるケーブルの被膜が燃え、付近には熱で溶けたペットボトルやティッシュペーパーの燃えかすのようなものもあった。
 当時、敷地内は無人。付近の防犯カメラには、自転車に乗り、帽子をかぶった不審な男が写っており、警視庁は行方を捜している。

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 変電所から60メートルほど離れたJR敷地内でも16日午前、雑草が燃える不審火があった。現場には液体入りのペットボトルがあり、警視庁が調べている。液体は油ではないとみられる。
 一方、線路脇のケーブル火災は10日余りで立て続けに4件起きた。16日に東北線の第二王子踏切(北区)の線路内で、ケーブルカバーが焼けた跡が見つかった。JR東などによると、同踏切では、5月25日にもケーブル付近にあったごみに焦げた跡があったという。
 中央線では今月18日、高架下の高圧送電ケーブルが、22日に線路脇の通信用ケーブルのカバーが焼けた。27日には山手線2カ所でカバーが燃えた。(2015/08/30-00:38)


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2015.8.27 11:00 産経新聞

韓国空軍のパイロットが、毎年平均で150人以上も職場を見限って転職していたことがわかり、韓国内で波紋が広がっている。辞職人数が採用数を上回るため、人員の補充が追いつかないままという。聯合ニュース(電子版)などによると、給与と福利厚生に不満を抱き民間航空会社に入社するケースがほとんどで、士気も低下。熟練パイロットが“ブラック企業”に見切りをつけて逃げ出すような事態なのだ。(岡田敏彦)

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韓国空軍の主力戦闘機F-15K(韓国空軍公式HPより)



上官、ベテランが大量流出

 韓国空軍本部は8月9日、2014年に軍を辞職した操縦士が127人だったと発表した。聯合ニュースや韓国YTNテレビ(いずれも電子版)などによると、13年には124人、12年が113人で、直近の10年間の平均値をみると、軍は1年あたり150人のパイロットを養成しながら、同時に離職者は155人にのぼったという。

 こうした離職が定年間際の早期退職なら影響は比較的軽微なのだが、実際にはパイロット経験10年の大尉や同15年の少佐の離職率が高かった。大尉や少佐は、部下を指導するとともに、編隊長や飛行隊の指揮官を任される重要な階級だ。

 さらに離職者155人の操縦士としての技量をみると、約8割の123人がベテランパイロット。戦闘力の低下が危惧される事態という。

通常、軍隊のなかでもパイロットはエリート兵士として優遇される。だが、YTNでは、主な辞職理由として民間航空会社と比べれば格段に低い給与と福利厚生をあげ、さらに「休戦中の北朝鮮と対峙(たいじ)していることによる精神的な負担」も指摘している。

 韓国軍では出世街道を上り詰めて大将になった場合、年俸は約1億2800万ウォン(約1400万円)に達するが、韓国の民間航空で機長を務めれば年収は約2億ウォン(約2200万円)とされる。軍のパイロットたちが転職したくなるのも無理はない。

 さらに見逃せない要素として「働きがい」があげられる。韓国メディアNEWSis(電子版)によると、韓国空軍パイロットの年間飛行時間は約80時間。米軍や英軍は約200時間で、日本の航空自衛隊が約180時間とされる。韓国空軍のパイロットは米英の半分程度の時間しか飛べない。つまり操縦技量を磨くのも難しくなってきているのだ。

落ちてゆく士気

 「辞めようか」と思わせる材料はまだある。軍内部の士気の低下だ。

10年11月23日、北朝鮮が韓国の延坪島(ヨンピョンド)を突然砲撃し、韓国軍海兵隊員や民間人が死傷した延坪島砲撃事件では、陸軍の自走砲が反撃したものの故障し、陣地に直撃弾を受けるなど韓国軍は一方的に叩(たた)かれた。この際、空軍の主力戦闘機F-15KとKF-16も出撃したが、攻撃命令が出ずに引き返している。

 これについて、中央日報(電子版)は当時行われた参謀本部の作戦会議に触れ「ある大佐は戦闘機で爆撃するべきだと意見を述べたが、韓民求(ハン・ミング)国防部長官は最後まで決断できなかった」と指摘し、「事実上、彼(国防部長官)は敗将だ」と厳しく批判した。

 マスコミから“腑抜(ふぬ)け扱い”されてしまったのだが、そんな上司でも軍の内部では絶対服従が通例だ。しかも戦時作戦統制権は朝鮮戦争以来、事実上米軍が握っている。戦火の拡大につながるような重大行動は、米国の意向をうかがわなければならない。

機材の不安も離職に拍車

 パイロットが乗り込み、命を預ける航空機にも不安がつきまとう。13年9月には空軍の戦闘機F-5Eが整備不良のため韓国中部の忠清北道に墜落。空軍では、こうした整備不良にまつわる事故が多いとされ、2000年以降で35機が墜落し、パイロット38人が死亡。うち5件が整備不良で5件が故障だった。

交換する部品がなく、他の故障機から無事な部品をはぎ取ってくる「共食い整備」も発覚し、韓国マスコミの批判の的となった。

 高官の不正も後を絶たない。KBSテレビ(電子版)などは、陸海空軍とも将軍や高官OBが装備品導入などに絡む不正行為で私腹を肥やすケースが続発していると報じる。

 昨年11月に発足した防衛事業不正合同捜査団が摘発した空軍の不正は、戦闘機整備代金詐取▽電子戦訓練装備の納品代金詐取▽司令部要員の軍事機密漏洩(ろうえい)-の3件で、不正額は約1340億ウォン(約148億円)にのぼる。将軍2人を含む軍幹部計6人が起訴されている。

 こうした不正を見せられながら、なお国のために命をかける気持ちになれるものだろうか。パイロットの転職は、6万5千人が所属し、約790機の航空機を運用する韓国空軍に暗い影を落としている。




2015.08.19 ZAKZAK


経済が低迷する韓国を海外投資家は完全に見放そうとしている。企業業績悪化や景気低迷を受け、欧州系資金を中心に韓国株売りが止まらない。追い打ちをかけるのが中国の株バブル崩壊と人民元切り下げだ。最強の投資銀行と異名を取る米ゴールドマン・サックスも韓国経済の中国への依存度の高さを指摘、中国が経済失速するなか、韓国の共倒れも避けられないのか。

 「グッバイ、コリア?」と題して海外投資家の動向を伝えたのは聯合ニュース。韓国市場で外国人が6月に3890億ウォン(約413億円)の株式を売却したのに続き、7月には約2兆ウォン(約2127億円)を売った。外国人の株式保有割合は30%を割り込み、2009年8月以来約6年ぶりの低水準に。海外投資家が「セル・コリア(韓国売り)」に転じたという。

 特に欧州系資金の韓国離れが激しく、6、7月で計5兆5000億ウォン(約5851億円)を売り越したとしている。

 8月に入っても海外投資家の売りの勢いは止まらず、13日までに今年最長となる7営業日連続の売り越しを記録した。

 韓国の代表的な株価指数である韓国総合株価指数(KOSPI)は4月に2173の年初来高値をつけたが、中国が人民元の切り下げを始めた今月11日に2000の大台を割り込み、17日には1968と約半年ぶりの安値水準まで下落した。

 中東呼吸器症候群(MERS)感染が拡大した6月の下落局面でも2000台を維持したが、MERS禍による安値を下回るという深刻度だ。

 「世界経済9月危機説」と報じた聯合ニュースは、「人民元ショックや米国の利上げなど世界的な危機が発生した際、韓国は世界で最も大きな衝撃を受ける」とした。

 とりわけ、中国経済への依存度が大きいことが問題視されている。米投資情報誌バロンズ電子版によると、世界の機関投資家が使う代表的な指標であるMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)の指数に組み込まれたアジア新興国の企業についてゴールドマン・サックスが分析したところ、売上高に対する中国の寄与度が高いのが台湾(13%)と韓国(9%)だったという。

今年1~6月の韓国からの輸出のうち、中国向けは最大の25・5%に達している。一方、中央日報によると、韓国国民が投資する中国株ファンドは7月時点で7兆4000億ウォン(約7873億円)で、海外株式投資全体の約39%にのぼる。

 製造業の景況感を示す韓国の7月の製造業購買担当者指数(PMI)は47・6と、中国(47・8)を下回る水準だ。6月の46・1から改善されたものの、生産や新規受注が悪化したほか、雇用も昨年11月以来最速の比率で減少しているという。

 MERSの傷跡も深い。聯合ニュースによると、国内線の航空機は回復してきたというが、国際線の旅客数は6月が12%減、7月は15%減と落ち込みが続く。

 今年4~6月期まで5四半期連続で前期比0%台の低成長が続く韓国経済の構造的な問題について「財閥制度が諸悪の根源だ」と語るのは、週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏。

 「確かに4~6月期はMERSの影響が大きいが、韓国経済の構造問題を放置してきたツケが回っているともいえる。韓国はこれまで財閥による寡占経済を利用して輸出特化路線を鮮明にしてきた結果、経済をいびつなものにした。背景には力のある者に頼ろうとする“事大主義”があり、財閥依存や中国依存にもつながっている」と指摘する。

 そんななか、朴槿恵(パク・クネ)大統領は13日、財閥トップを含む6527人の特赦を実施した。系列会社の資金横領などで懲役4年の刑に服していた大手財閥SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長ら財界人14人を含む計約6500人が、刑の執行免除や減刑などの対象となった。崔氏は14日に釈放され、SKグループの会長職に復帰した。財閥にメスを入れるどころか、景気回復へ財閥依存を強める朴政権には、抜本改革などできそうもない。



参考サイト

白人に黒人の肝臓が移植された場合、その人の肌の色が褐色に変化することはあるのだろうか。このほどロシア人患者の身に起きた非常に珍しい変化の事例に、専門家らも首をかしげているもようだ。

ロシア南西部クラスノダール地方に暮らす発明家のSemen Gendlerさん(65)はC型肝炎からガンを患い、もはや肝移植しか助かる手立てはないと医師に告げられた。彼はアフリカ系アメリカ人ドナーからの肝臓を有難く譲り受けたという。ところが移植手術を受けたことをきっかけに、彼の皮膚は少しずつ褐色に変わっていったそうだ。

「ニューヨークにいるビジネスパートナーに相談したところ、50万ドル(約6200万円)ほどあれば助かるかもしれないと聞きました。ロシアでドナーが現れるのを待つよりも迅速だと知り、藁にもすがる思いで渡米しました」とGendlerさん。38歳という若い男性の肝臓が譲られると知り、飛び上がる思いで喜んだという。

Gendlerさんは今、彼を昔からよく知っている人たちから「肌がどんどん浅黒くなっているね」と指摘されるとのこと。日焼けもしないのに肌の色が暗くなっていくのは健康上よくないことが多いが、Gendlerさんの肌色は内臓疾患等の症状として見られる土気色やドス黒い肌色といったものとはまた違うそうだ。「肌の色など別に構いません。とにかく健康を取り戻し、ロシアとニューヨークを元気に往復する毎日を送れるようになったのです」と彼は嬉しそうに話している。

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2015.6.9 11:00 産経新聞

軍艦島(端島)など「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録をめぐり、反日運動を繰り広げる韓国で、世界遺産に関する「大失態」が問題化している。スイスに本部を置く財団が主宰した「世界7大自然景観」選定をめぐる活動だ。電話やインターネット投票で決まるため、官民あげて取り組んだ結果、日本円にして約24億円もの電話代を請求された。税金での支払いには、国民から批判の声が上がっているという。無用な反日行為に精を出す前に、足元を見つめ直した方がいい。

名誉欲がかき立てられて…

 中央日報や韓国KBS放送(いずれも電子版)などによると、問題の舞台となったのは、風光明媚(めいび)なリゾート地として知られ、2007年6月に「火山島と溶岩洞窟群」が韓国初の世界自然遺産に登録された韓国・済州島(チェジュド)。地元自治体が遺産登録による観光客増加の相乗効果を狙い、スイスに本部を置くニュー・セブン・ワンダーズ財団が主宰した「世界7大自然景観」(世界7大自然奇観)の登録を目指したことが始まりだった。

 選定は11年12月に行われ、世界中から電話やインターネットによる人気投票で、美しい景観の「ベスト7」を決めるというのが趣旨。08年に専門家らによる審査員が候補地28カ所を選出、済州島はこのなかに入っていた。

一人で何度投票してもよいという韓国国民好みのルールに加え、「世界で○番目」という評価や名誉に執着する国やマスコミの風潮も、この企画にマッチ。韓国は総力をあげて選出を目指したのだ。

 ところが今年1月末、同財団の理事長が訪韓し、関係者に説明した事項で驚くような事実が次々と明らかになった。

高額電話代の税金払い

 韓国側は選定に向け、10年にソウル大学総長も務めた元首相の鄭雲燦(チョン・ウンチャン)氏を委員長とする「選定汎国民推進委員会」を結成。翌11年3月には国会が支持の決議案を採択、李明博大統領(当時)も投票した。広報大使には女優のキム・テヒさんら芸能人が就任。現地の済州島も官民あげて投票にのめり込んだ。

 当時の禹瑾敏(ウ・グンミン)済州特別自治道知事は、電話投票にかかる電話料金を道庁が全額負担すると決定。済州市では市職員に電話投票をするよう促し、「一人一日70回」の“ノルマ”を設定。役所に訪れる市民にも専用電話を用意して投票を勧めた。KBSなどによると、投票のほとんどが公務員による電話で、電話料金は計約211億ウォン(約23億5160万円)にもなった。

 その甲斐あって、11年12月22日に済州島は世界7大自然景観に選ばれた。

 だが、電話投票には“からくり”があった。

投票のための電話料金は1通話当たり1200~100ウォン(約132~11円)で、このうちの一部が財団の収益になっていた。要するに、日本のダイヤルQ2(電話による情報料代理徴収サービス)のような形態だったのだ。

 訪韓した財団理事長は、料金のうちいくらが財団に入るのかについて「韓国通信公社(KT)との契約上、明かせない」などと説明。結局、済州特別自治道は104億ウォン(約11億5千万円)を支払い、残りの約66億ウォン(約7億3千万円)については月1億1千万ウォン(約1200万円)の分割払いで、17年9月まで支払い続けることとなった。

電話料金の「行方」

 実は、主宰したニュー・セブン・ワンダーズ財団をめぐっては、投票活動中にも疑惑が、韓国メディアによってたびたび報じられていた。

 中央日報などによると、財団は、国連やユネスコ(国連教育科学文化機関)とは一切無関係だった。財団本部に事務所はなく、住所地にあったのは全く別の博物館。あるはずのドイツ事務所は存在しなかった。

 さらに問題視されたのが、電話料金の「行く先」だった。

 投票先の電話番号はサントメプリンシペ(アフリカ)やセントクリストファー・ネイビス(カリブ海)などのタックス・ヘブン(租税回避地)の国ばかり。投票すればするほど、「非営利団体」を標榜(ひょうぼう)する同財団が儲(もう)かるという仕組みだとの指摘もあった。

それでも、何事もいったん火が付くと止められない「国民性」なのか、投票行動は過熱。中止されることはなかった。

 当然だが、済州島の「7大景観」選出について、各国のメディアが報じた形跡はほぼ皆無。海外からの観光客がどっと押し寄せるという思惑は外れ、残ったのは多額の電話料金の税金での支払いだけだった。

見たくない現実

 中央日報などによると、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録について、韓国政府は「朝鮮人強制徴用があった」ことを理由に軍艦島など7カ所の施設を除外することを求めている。

 ただ、済州島は数百年前から流刑地で、本土からの差別も酷(ひど)く、朝鮮戦争直前の1948年には軍や警察が左派系島民を虐殺。その数は1万人以上とされ、57年までに計約8万人が虐殺されたとされている。

 他人に難癖を付ける前に、自らの足元を見つめ直したほうがいい。




独占インタビュー ノーベル賞経済学者 クルーグマン「気をつけなさい、中国が世界経済を崩壊させる」 そのとき、日本は…


今、こうして話しているあいだにも、バブルが崩壊しつつあります。中国経済のバブルのことです。

今の中国は'80年代後半の日本のバブル経済と似たような状況。とりわけ過剰な投資が問題を肥大化させています。

さらに悪いことに、中国という国には日本のように社会的な「結束力」がない。日本のバブル崩壊と比べものにならないくらい深刻な事態が起こる可能性が高いのです。

教授の声色がにわかに曇ったのは、話題が中国の経済状態に及んだときのことだった。

'08年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏。昨年11月に来日した折には安倍首相と面会し、消費増税の中止を進言。結局、首相は再増税の時期を延期した。一国の政策決定者にこれほど影響力を持つ経済学者は極めて稀だ。

米国ではNY市場が史上最高値を更新し、日本の東証も15年ぶりの高値圏にある。一見、好調に見える世界経済だが、次なる「火種」はないのか—たっぷりと語ってもらった。

まずはアメリカの状況から話しましょう。現在、世界中の市場関係者が注目しているのがアメリカの利上げについてですからね。

一言でいえば、アメリカ経済は好調です。何もかもが正しい方向に向かっています。住宅着工件数も個人消費も順調に伸びており、雇用も活気づいている。雇用が増えて住宅販売が伸び、それがまた新しい雇用を生むという好循環です。



もっとおカネを刷ろう

では、利上げが正当化されるかと言えば、そうではありません。ただでさえドルが強くなりすぎており、それがアメリカの輸出に打撃を与え始めています。さらに原油価格の低下も景気の足かせになっています。アメリカはシェールガスという新エネルギーに多大な投資をしてきましたが、原油安で競争力が落ちている。世界全体で見ると原油価格の下落は経済の追い風になりますが、アメリカでは事情が異なるのです。

だから私は早すぎる利上げに断固として反対します。確かに経済はよくなってきているが、まだ充分なインフレになっていないし、賃金は増えていない。急いで利上げに踏み切ってはいけない。'00年の日本や'11年のヨーロッパが、早すぎる利上げのために景気を腰折れさせてしまったことを反面教師にするべきです。アメリカがデフレに陥ったら世界経済に対する打撃は大きい。そこから巨大な経済危機が起こることも考えられます。

次に日本の状況ですが、昨年、2回目の増税を中止したことは大正解でした。安倍首相に直訴した甲斐がありました。黒田東彦日銀総裁は安倍首相と国会の支持を得ているので一貫した政策を行うことができ、日本経済は金融面では最適の環境にあります。

しかし、インフレ率はいまだ望ましいレベルに達していません。そもそも1回目の消費増税は必要ありませんでした。デフレを完全脱却してからでも増税は遅くなかった。そこまで財政規律を気にしなくても、日本には十分な国内資産があるため、ギリシャのようにデフォルトの懸念にさらされることはありません。それより重要なのはおカネをもっと刷って、デフレから完全に脱却することなのです。

アベノミクスを成功させたいなら、昨年の消費増税を撤回することです。デフレから脱却するには相当の「脱出速度」が必要で、そのためにはアメリカのように個人消費が伸びてこなければなりません。賃金の上昇が追いついていないのに増税しては、脱出に十分な速度が得られない。

ですから、まだまだ日銀が出口戦略を描く段階ではありません。無茶な金融緩和は国債暴落を引き起こすという人がいますが、その説は信憑性がない。ハーバード大の経済学者ケネス・ロゴフのように国家破綻の可能性を煽るのが好きな学者がいますが、彼の論文は誤りが多い。



中国は異常である

一方、日本にとって深刻なのは人口減少の問題です。仮に少子化対策に成功して、急に子供がたくさん生まれたとしても、その好影響が現れるのは、子供が働くようになる20年後です。その前にすべきことは女性をもっと労働市場に呼び込むことです。日本の女性の労働人口割合が他のG7国並みになれば、1人当たりのGDPが4%も上昇するというIMFの試算もあります。

再び世界経済に目を転じましょう。大きな懸念事項として、ギリシャ問題があります。ギリシャがユーロから脱するべきだという声もありますが、今はそうすべきではない。今、離脱するとかなり破壊的な事態になります。そもそもギリシャのような国をユーロに加えてはならなかったのですが、今それを言っても詮ないことです。

ヨーロッパはギリシャを離脱させないまま、もっとアグレッシブに金融緩和を進めるべきです。ECB(欧州中央銀行)は月に600億ユーロ(約8兆円)の金融緩和を行っています。これは一見、巨大な額に思えますが、数兆ドル規模の緩和を行ってきた米国に比べれば、まだまだ穏当な額です。EUは政治的に複雑なので、ECBのドラギ総裁は政策決定に苦労していますが、デフレの瀬戸際から脱するためには大胆になるべきです。言うまでもなく、まだまだ出口戦略を考えるべき段階ではない。

しかし、本当に注視すべき対象は日米欧ではなく、他にあります。

異常にバランスが崩れた経済である中国です。

数字の上では、中国は今でも7%以上の成長率を達成しています。しかし、問題なのはその数字が政府による「極めて政治的な表明」に過ぎず、信用に足るものではないということです。

中国の投資額はGDPの50%、消費がGDPの30%です(日本はそれぞれ約20%、55%)。つまり投資が過剰でバランスが悪い。投資のかなりの部分が不動産なので、大規模な不動産バブルが発生しています。

賃金が上昇し、労働力不足が生じているので、古い成長モデルはもう通用しません。投資を30%、消費を50%という構造に変えていく必要があります。その移行がうまくいかなければバブルが崩壊します。

現在もバブル崩壊は進行中です。不動産バブルが大きく弾けると、中国の地方自治体は突如として財政難に陥ります。

中国経済は明らかに失速しています。その証拠に鉄鉱石や銅といった商品価格が急落しています。中国が原材料を輸入しているオーストラリアやチリの経済には深刻な影響が出始めている。今後、中国経済は大きな調整を迎えるにちがいありません。そしてその調整は世界経済にとって大きなリスクになります。

言うまでもなく、中国は巨大な経済圏です。GDPの規模でいえば日本をはるかにしのいで世界2位の地位にあります。人口が多いので、一人当たりのGDPで考えるほうがいいと思うかもしれません。しかし、中国は物価が安く、購買力平価(PPP)はすでに世界トップクラスです。つまり中国の消費力は世界的に見てもかなり大きい。

中国経済の失速が世界経済に与える影響は計りしれません。そしてとりわけ日本に与える影響は途方もないものになる。'14年度の日本から中国への輸出額は13兆3844億円(前年比6%増)、輸入額が19兆1705億円(前年比8・6%増)であることを考えれば、それも当然のことといえるでしょう。先進国の中で、中国経済の動向に最も影響を受けるのが日本であることは間違いない。

このように私は中国経済の行く末を大いに心配しています。しかし、中国のことをもっと心配しなければならないのは、あなたがた日本人なのです。



日本株、いま勝負するなら
3度目の2万円超え、2万2000円までは行くというが


5月20日、東京証券取引所は歴史的節目を迎えた。日経平均が15年ぶりの最高値である2万196円(終値)をつけ、東証1部の時価総額が591兆円を突破、バブル絶頂期だった'89年末の時価総額を上回ったのだ。

ギリシャ問題や中国経済の減速といった世界経済の懸念材料をよそに、市場に流れ込むマネーの勢いが止まらない。シンガポールに拠点をおくヘッジファンド幹部は語る。

「今はすべての株価が上昇しているように見えるかもしれませんが、実際は違う。日経平均だけを見ていては、市場で本当に起きていることを見誤ります。選ばれた銘柄は騰がり、見捨てられた銘柄は下がる—株価の二極化が始まっているんです。我々ヘッジファンドとしては、買いと空売りを組み合わせた『ロングショート戦略』で2倍儲かるオイシイ相場。今年のボーナス時期には、東京ディズニーランドを貸し切って楽しもうなんて話も出ていますよ」

今年に入って日経平均が終値で2万円を付けるのは3度目だ。「年末までには2万2000円をつける」(SMBC日興証券チーフ株式ストラテジスト阪上亮太氏)という声も聞かれ、ますます株価は上昇すると期待している個人投資家も多いだろう。

だが、注意すべきことがある。日銀の量的緩和策によって一様に株価が上昇してきた相場はすでに終わっており、これからは銘柄間の格差がますます大きくなるという点だ。証券アナリストの植木靖男氏が語る。

「これまではある程度の上昇相場になると、出遅れていた銘柄も値を伸ばすケースが多かったのですが、最近は値上がりする銘柄はどんどん騰がる一方で、そうでない銘柄は逆に値を下げている」

株価に明暗が生まれるのは、投資家がわかりやすく好業績で、なおかつROE(株主資本利益率)の高い株主重視の優良銘柄ばかりを狙うようになっているからだ。

典型的なのは工作機械用NC装置でシェア世界一のファナック。これまでは圧倒的技術力を誇りながらもメディアの取材を一切受けず、プレスリリースも滅多に出さないという「引きこもり」企業だったが、今年2月、米国のモノ言う株主(アクティビスト・ファンド)、サード・ポイントが大株主になってから態度が一変した。決算発表の翌日にあたる4月28日には本社のある山梨県忍野村で機関投資家・アナリスト向け説明会を4年ぶりに開いた。社長の稲葉善治氏はその席で「正直、皆さんと話しても業績は上がらない」と語る「面目躍如」ぶりだったが、今後は半年に一度は説明会を開くと明言し、同社の変化を印象づけた。年初には2万円前後だった株価は現在2万6000円前後。投資情報会社フィスコのアナリスト村瀬智一氏が語る。

「外国人投資家のみならず、国内の機関投資家たちも配当性向を気にするようになり、自社株買いや増配をするよう注文をつけるようになっている。

例えば空圧機器で高いシェアを誇るSMCは決算の内容がよかったにもかかわらず、儲けを株主還元ではなく設備投資に回すと発表したため、株価はさえなかった。株主の要求に応えたファナックと対極的です」



「勝ち組」の見つけ方

同じ業界内でも明暗が分かれるというのが、現在の相場の特徴だ。例えば、ソニーとシャープ。

ソニーは懸案であったPC事業からの撤退やテレビ事業の分社化などを進め、瀕死の状態から復活。「自動運転技術などでも使われる画像処理センサー『積層型CMOS』という技術を武器に、V字回復を目指す」(岡三証券ストラテジスト石黒英之氏)。現在の株価は4000円近く、1年前から倍以上になっている。

一方、液晶事業で散々な失敗をしたシャープは2223億円の大赤字を出し、メガバンクや政府による救済に頼るしかないような状況だ。

同じく電気機器分野で、ネガティブサプライズが出たのが東芝。500億円近い不正会計が明るみに出て、3月には530円を超えていた株価は現在400円前後。不正発覚前は史上最高の営業利益が予想されていたが、決算発表が延期されるまでにいたった。SBI証券のアナリスト藤本誠之氏が分析する。

「不正会計の額は東芝の企業規模からすれば小さいかもしれないが、機関投資家は決算に問題のある企業の株を持っているわけにはいかない。とりわけ外国人投資家は、'11年のオリンパス事件以来、粉飾決算に敏感になっていますから……」

金融部門では海外事業が順調で純利益1兆円をたたき出した三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)や、戦後初めて保険料収入等で日本生命から首位の座を奪った第一生命が絶好調。後者は決算発表後に13%も株価を上げている。ここでもやはり「業績が好調なことに加えて、自社株買いなど株主還元を積極的に行っていることが株価上昇の要因」(前出の村瀬氏)となっている。他方、「海外事業への進出が遅れているみずほフィナンシャルグループは見劣りがする」(前出の石黒氏)。

自動車では好景気に沸く米国での売上比率が高い富士重工が勝ち組。逆に同国でリコール問題などに悩まされているホンダは減益。決算発表後に約8%も株価が下落した。6月の社長交代で巻き返せるか、注目が集まる。

このようにくっきりと明暗が分かれ始めている現在の相場。株主総会が集中する6月には、各社の株主対応によってますます格差が広がりそうだ。ポイントは株主還元への積極性と、同業種内で収益率がトップクラスかどうかということ。銘柄の選別眼の重要性はますます高まっている。

「週刊現代」2015年6月6日号より





ポツダム宣言は「無条件降伏」ではない 日本政府は条件付きで降伏した

ケント・ギルバート

ZAKZAK 2015.05.30


安倍晋三首相(自民党総裁)と、日本共産党の志位和夫委員長との党首討論がきっかけで注目された「ポツダム宣言」の英文と日本語現代語訳を、久しぶりに読んでみた。申し訳ないが、数カ所で笑ってしまった。

 例えば、第10条の後半だ。「言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである」とある。

 終戦後、徹底した検閲を通じて日本のマスコミを管理し、虚偽の報道で日本人に贖罪(しょくざい)意識を植え付けた側が、宣言では日本政府に「言論の自由を確立しろ」と命じているのだ。

 GHQ(連合国軍総司令部)は「プレス・コード」で報道機関を統制した。露骨な二重基準には笑うしかない。

 日本人がポツダム宣言受諾を「無条件降伏」と呼ぶのも大間違いだ。

 第5条は『Following are our terms』で始まる。「我々の条件を以下に示す」という意味だ。日本政府は条件付きで降伏したのである。

 具体的には「軍国主義の追放」「領土占領」「日本領土は本州、北海道、九州、四国と諸小島」「戦争犯罪人の処罰」「民主主義復活」「平和的政府の樹立」などである。

 そして、第12条には「条件が達成された場合に占領軍は撤退する」と明記してある。

 無条件降伏の要求はこの後の第13条、「全日本軍」に対するものだ。

『我々は日本政府が全日本軍の即時無条件降伏を宣言し、またその行動について日本政府が十分に保障することを求める(以下略)』

 第13条に従い、日本軍は進駐軍に1発の銃弾も撃たなかった。昭和天皇が玉音放送を通じて、日本国民に戦争終結を訴えられたおかげだと思う。

 ちなみに、ポツダム宣言を持ち出した日本共産党は、戦後平和の功労者たる「天皇」について綱領にこう書いている。

 『党は、一人の個人が世襲で「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、(中略)その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである』

 「第1章 天皇 第1~8条」の撤廃は日本共産党最大の悲願である。どこが護憲政党なのか。

 さらに言えば、日本国のために尊い命をささげた英霊を祀る靖国神社への参拝に反対する政治家が、安全保障関連法案の審議では、自衛官のリスク増大を反対理由にしている。軍人や自衛官への感謝や敬意を示しているとは思えない彼らの、偽善的態度とご都合主義にはあきれるしかない。



 ■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。80年、法学博士号・経営学修士号を取得し、国際法律事務所に就職。83年、テレビ番組「世界まるごとHOWマッチ」にレギュラー出演し、人気タレントに。現在は講演活動や企業経営を行う。自著・共著に『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』(PHP研究所)、『素晴らしい国・日本に告ぐ』(青林堂)など。




人民解放軍に激震 習政権が軍部のカネの流れを徹底調査 聖域を破壊

2015.05.26 ZAKZAK

腐敗官僚の撲滅を進める中国・習近平国家主席が人民解放軍への攻勢を強めている。取り締まりを主導する党中央規律検査委員会が、胡錦濤政権時の制服組トップ、郭伯雄・前中央軍事委員会副主席の身柄を拘束するなど、軍幹部を次々と粛清。会計検査を断行し、これまでタブー視されてきた軍部内のカネの流れまでも暴こうとしている。「赤い帝国」で繰り広げられる“聖域破壊”の衝撃を富坂聰氏がリポートする。

 軍幹部の収賄額が桁違いであることは中国では常識だ。その実態を報じた「財経網」(4月1日)の記事のタイトルは、《谷俊山の収賄事件で収賄額は200億元(約3860億円) 軍の資産一つ売って1億元のリベート》という驚くべきものだった。

 日本では習近平国家主席がライバルを追い落とす目的ばかりが注目される反腐敗キャンペーンだが、ターゲットの規模はすでに権力闘争だけでは説明できないほど広範だ。

 中国社会科学院が3月18日に公表した「法治青書(15年版)」をもとに「人民網」が分析した記事によると、14年の中国では1日平均500人の官僚が双規(規律検査委員会による規律違反の取り調べ)を受けていた計算になるという。

 現在までに省級・大臣級の“大トラ”幹部が80人以上、同じクラスの軍幹部が30人以上も規律違反を問われて処分されている。

 反腐敗キャンペーンが打ち出された直後、「トラもハエもたたく」とのスローガンが唱えられたが、昨年7月からはこれに「キツネ(主に海外に逃亡した官僚と政商)」が加わり、いまは「デブネズミ(公金で飲み食いして太った官僚)」を官僚組織から追い出すことを目的にしている。

 トラ、ハエ、キツネ、ネズミとターゲットを広げてくるなかでは、国家のダイエットと名付けられた無駄遣いへの攻撃から、親族を幽霊職員にしている問題に対して大々的にメスを入れ、大量に首を切ってみせた。

中国の国民は周永康、徐才厚、令計画の3氏といった共産党の大物の落馬の裏でこうした社会の変化を目の当たりにしている。この劇場型の手法が習政権の人気を支えている。

 現在、残った伏魔殿といわれる央企(国務院直属の国有企業)へ中央巡視隊を派遣する一方で、従来タブーとされてきた人民解放軍に会計検査を入れ、13年から14年にかけての金の流れを徹底調査するという。

 すでに習政権は、ぜいたく禁止令などによって、人民解放軍への締め付けを強くしている。

 同時に、軍部内に蔓延(まんえん)していた、あらゆる不正行為の取り締まりも進めている。

 親族が就労しているように見せかけて報奨金や給付金をだまし取る軍人を処罰し、実体のない“偽訓練”が横行する実態も明らかにした。

 賄賂によって身分が売り買いされていた軍部では、名前だけの偽の役職も多かったが、そうした悪弊も一掃した。まさに一気呵成(かせい)。極めつけが、今回の会計検査ということだ。

 検査の対象は上官から下士官まであらゆる階級に及ぶ。経費をすべて洗い出し、不正なカネの流れがなかったかを調べる。この調査によって、軍部の腐敗の詳細が白日の下にさらされることになるだろう。検査結果が出るころには大量の処分者が出るはずで、人民解放軍に激震が走るのは間違いない。

 まさに聖域破壊の連鎖だが、国民はより大きな刺激を求めてくる。その欲求に習氏がどこまで応えられるのか。今後の一つの焦点だろう。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。




世界のガン(中国)を消す日米「レーザー相殺手術」

産経新聞 2015.5.25 06:00

左翼や野党の多くは、今国会で関連法案成立を目指す安倍晋三政権の安全保障政策を「米国の戦争に巻き込まれる」「戦争に突き進む」と批判するが、既に米国は中国との“一戦”を視野に入れている。米戦略予算評価センターが1月に発表した《相殺戦略=オフセット・ストラテジー》や、直前の2014年11月に米国防総省が公表した《国防イノベーション・イニシアチブ=DII》が、覚悟を裏付ける。


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米海軍の輸送揚陸艦「ポンス」に実験搭載された「レーザー・ウェポン・システム」。相殺戦略のコンセプトにも合致したこの新兵器は、中国に対する強い抑止力となる=2014年11月15日、ペルシャ湾(ロイター)



主敵は中国

 相殺戦略は国防費の大削減の中、技術面はじめ現行の優位を発展させ、敵対者の量的優位を「相殺」する大戦略である。主敵は異常な速度・規模で軍事膨張を強行する中国と観てよい。具体的には空中空輸可能な無人艦上機等による作戦/無人潜水機等による海中作戦/長距離・ステルス航空作戦…などの加速度的進化とその統合・複合化を提唱。作戦構想に向け、優位な軍事技術にさらに磨きを掛ける。逆に、優位な技術を作戦に活(い)かす。

長距離打撃力強化は避けて通れぬ戦力の一つで、レーザー/マイクロ波=電磁波兵器の開発→配備や宇宙からの攻撃も想定する。夢ではない。1950年代はソ連の膨大な通常戦力を「相殺」すべく《核戦力による大量報復=抑止戦略》、70年代には核戦力も比肩し始めたソ連に対し、GPS誘導システムと精密誘導兵器、ステルス技術、早期警戒管制機(AWACS)といった偵察兵器と戦闘管理とのシステム一元化などで、優位を維持してきた。

 《第3次》となる今次相殺戦略へも米国は本気で取り組んでいる。しかし、今回は対中姿勢に疑問符の付く米政権や予算不足に加え、最先端技術が軍民で相互乗り入れしている点で、中国に機密が漏れやすくなっており、前途にはモヤがかかる。だからこそ、自衛隊の精緻な戦闘力+日本の科学技術力面での支援が不可欠になる。むしろ米国を「巻き込み」、総合的軍事力の優位=抑止力を盾にした「戦争に突き進まない」戦略以外、選択肢は見当たらぬ情勢だ。


超電磁砲と電磁波版MD

 米海軍研究所(ONR)が2月に実射した最新兵器は、火薬を発明した中国にさぞや衝撃を与えたことだろう。火薬ナシで格段に速く・遠くに飛ばし、巨大な打撃を与える《超電磁砲=レールガン》が10年以内に海軍艦艇に搭載され、中国軍をにらむ仕儀となるのだ。レールガンは電磁エネルギーを利用し、電気伝導体のレールに挟んだ物体を磁場作用ではじき出す兵器。100分の1秒以内にマッハ7(秒速2500メートル)まで加速する。比較的速い戦車でさえ発射速度は秒速1800メートル前後で、もはや比較の対象にならぬ。

 射程も200キロを軽く超え、米海軍既存の5インチ砲の射程25キロ弱は無論、大日本帝國海軍が誇った軍艦大和の主砲42キロをも凌駕する。500キロ以上の達成は時間の問題だ。発電所単位という巨大な消費電力の削減や電源+発射システムの小型化が成功し、研究・開発の余地は多いが、最低限の実戦配備にメドはついた。

レールガンより5年程度早く、中国軍に立ちはだかる兵器もデビューした。ONRが開発し、2014年12月の実射で小型船舶と無人偵察機を葬った艦載の《レーザー・ウェポン・システム》だ。ミサイル発射は1発数十万ドルもするが、レーザー砲は1照射当たり1ドルに満たなく、DIIや相殺戦略のコンセプトにも合致する。実弾・ミサイルの格納スペースは不要で、被弾時の危険性も逓減できる。

 破壊力を高め戦闘機やミサイルも標的に性能向上が進む。特に弾道ミサイルはマッハ20(秒速7000メートル)級で襲来し、ミサイル防衛(MD)システムが発射するミサイルでの迎撃は完璧ではない。だが、光速=秒速30万キロ前後で照射される電磁波を使ったMDの完成は、日米の防衛力を前例がないレベルに高める。従って、米国の軍・企業は迎撃ミサイルの研究→開発→配備を反復する一方、超高度技術の壁故に積極性の時期的濃淡はあるものの、電磁波版MDの研究・開発をやめなかった。米側は過去、この分野で高い民生技術を培ってきた日本の民間企業に何度も技術協力を打診してきた。従来型MD同様、電磁波版MDの日米共同開発は、国益を損なわぬやり方を担保すれば実施すべきだろう。


科学で「飽和攻撃」に対抗

 何となれば、日米両国は国防費への大逆風にさらされる半面、科学・技術面では対中優位を堅持している。中国の量的優位を「相殺」する大戦略の共有は大いに理に適う。中国軍は質も飛躍的に高めているが、最大の脅威は兵器のおびただしい数だ。ミサイルにせよ戦闘機にせよ、旧世代型でも撃ち落とすには十分な迎撃能力や弾・ミサイル数が必要となる。冷戦時代、総合戦力の対米劣勢を憂いたソ連軍も、米空母機動部隊の迎撃能力を超える大量のミサイルを爆撃機や潜水艦が集中発射し艦艇を撃沈する「必殺」戦術を立てた。《飽和攻撃》と呼ばれ、米軍は多目標に同時対処できるイージス・システムを開発し対抗した。世界屈指の戦闘力を持つ航空自衛隊が一発必中の迎撃を繰り返しても、「矢弾」が尽きた時点で、敵の前世代機を前にワンサイド・ゲームに陥る。

 そこで、科学技術力に裏打ちされた電磁波兵器など最先端兵器の組み合わせ=総合的軍事力で、中国軍に「負け」を悟らせ、戦端が開かれる以前にお引き取り願うのだ。

気になるのは、わが国の防衛体制だ。集団的自衛権の限定的行使容認程度で批判が起きる国際的非常識も致命的だが、技術防衛もお粗末極まりない。相殺戦略も重視するステルス性を支える炭素繊維は、日本が最先端を走るが、同盟国とはいえ米国に安売りしてしまった。精密機械/冶金/ロボット/デジタル・カメラ/再生エネルギー/ナノ/液晶/ウェアラブル(携行)端末…、中国は合法・非合法あらゆる手段を駆使して日本の先進技術を強奪している。だのに、日本は売れば国益に資する兵器を禁輸し、売ってはならぬ「利敵民生品」を平然と輸出する。

 もっとも中国は既に、一部の電磁波兵器を遮断できる「防衛網」を確保した。PM2.5の大気汚染は、波長にもよるが電磁波を遮断する。人民の健康を損ねる真っ黒な空が「人民の盾」ではないと信じたい。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)


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