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ウクライナで内戦が始まる 欧米vsロシア “代理戦争” の行方


国際関係アナリスト・北野幸伯 ダイヤモンド・オンライン


3月1日にウクライナ・クリミア半島へ軍事介入を開始したロシアは、クリミア併合を成功。話はここで終わらず、4月7日になって、ウクライナ東部のハリコフ州、ドネツク州がクリミアをまねて独立宣言をした。内戦状態に突入したウクライナ情勢を解説する。

ロシア系住民の占拠、立てこもりが頻発親欧米政権は武力による掃討作戦を開始した



 ウクライナで内戦が始まる。4月7日、ウクライナ東部のハリコフ州、ドネツク州が独立を宣言した。その後、同じ東部のルガンスク州などの諸都市で、ロシア系住民が州政府関連施設、市役所、警察署、検察庁など要所を占拠し、たてこもる事件が頻発している。

 親欧米のウクライナ新政権は、これを「テロ行為」と断定。武力による「掃討作戦を開始する」と宣言した。4月13日には、ドネツク州スラビャンスク市で、実際に「テロ掃討作戦」がはじまり、犠牲者も出はじめている。

 ロシアに亡命中のヤヌコビッチ・前ウクライナ大統領は、「内戦がはじまった!」と断言した。

 しかも、実際にはウクライナとロシア間の争いには留まらない。ロシアのテレビニュースは、「CIA長官が、ウクライナ新政府に武力行使を命令した!」と報じている。そして、ロシアのチュルキン国連大使は4月14日、国連安保理で、「(米国の)バイデン副大統領は、いつものようにウクライナの大統領に電話し、『武力行使をやめろ!』というべきだ」と述べた。

 欧米は、「ロシアがウクライナ東部の暴動を扇動している」とし、ロシアは、「米国が新政権に対して、ロシア系住民虐殺指令を出した」と見ているのだ。ウクライナで始まった内戦は、実は欧米とロシアの“代理戦争”なのである。歴史的背景をおさらいするとともに、欧米の狙いと、ロシアの思惑を解説していこう。



プーチンは、ウクライナ東部を併合するか?

 2014年3月、プーチンは世界を驚愕させた。

 まず、3月1日、「ロシア系住民の安全確保」を理由に、ウクライナ・クリミア半島への軍事介入を宣言。3月16日、クリミア自治共和国で住民投票が実施され、96.77%が「ロシアへの編入」を支持した。こうしてロシアは、わずか半月あまりで、クリミアを併合することに成功した。

 ウクライナ人は嘆き悲しみ、ロシア国民は喜びに沸く。「クリミア併合」で、プーチンの支持率は、年初の60%から82%まで急上昇している。ここまででも驚きだが、話は終わらない。今度は、ウクライナ東部が荒れてきた。ロシア系住民(*)の多い、ウクライナ東部のハリコフ州、ドネツク州が4月7日、「独立」を宣言したのだ。

 彼らは、「クリミア」を真似たのである。「独立宣言」の後、「住民投票」を実施し、「ロシアへの編入」を目指す。はたして彼らの願いはかなうのだろうか?ロシアは、クリミアについで、ウクライナ東部を併合するのだろうか?





地理的状況で欧米vsロシアの争いの舞台になってきたウクライナ

 日本人には、なじみの薄い国「ウクライナ」。少し、基本を押さえておこう。

 ウクライナは、旧ソ連国である。ソ連が崩壊した1991年、独立を達成した。しかし、今に至るまで政治も経済も安定していない。その理由は、ウクライナの「位置」にある。ウクライナの東には、大国ロシアがいる。そして、西はポーランドに接する。つまり、EUがある。

 ソ連が崩壊したとき、米国、西欧諸国は「東の凶暴な白クマ(ロシア)が二度と反抗できないようにしよう!」と決意した。そして、二つの道具、すなわち、反ロシア軍事ブロックとして機能するNATO(北大西洋条約機構)とEUを東方に拡大することで、ロシアの勢力圏を徐々に奪っていったのだ。NATO、EUは、ついに旧ソ連諸国・バルト三国を加盟させ、ロシアの東隣ウクライナまで迫ってきた。

 欧米は、勢力圏をさらに東に伸ばしたい。対するロシアは、ここでNATO、EUの拡大を阻止したい。それで、ウクライナは、欧米の影響力の強い西部と、ロシアが強い東部にわかれて争いがつづいてきた。

 2004年11月、大統領選挙で親ロシアのヤヌコビッチ(当時首相)が勝利した。しかし、「不正選挙」を非難する大規模デモが起こり、ヤヌコビッチは再選挙に同意。結果、親欧米のユシチェンコ(当時元首相)が逆転勝利した(これを、一般に「オレンジ革命」を呼ぶ)。

 その後の推移について、日本ではあまり知られていない。実をいうと10年の選挙では、親ロシアのヤヌコビッチが勝利し、念願の大統領に就任している。プーチンは大喜びしたことだろう。

 しかし、大統領になったヤヌコビッチは、ロシアと欧米の間を行ったり来たりしはじめた。とうとうヤヌコビッチは、EUとの関係を深化させる貿易・政治協定(いわゆる欧州連合協定)の調印を約束した。

 ところが13年11月、事件が起こる。ヤヌコビッチは協定調印を「ドタキャン」し、EUを驚かせたのだ。その直後、プーチンはウクライナに150億ドルの支援と天然ガス価格の値下げを約束している。要するに、ヤヌコビッチは、プーチンに口説かれて(脅されて)変心したのだ。これに、親EUのウクライナ国民(主に西部)が激怒。首都キエフで大規模なデモが起こった。今年2月22日、身の危険を感じたヤヌコビッチは、キエフを脱出しロシアに逃亡。「革命」によって、親欧米の新政権が誕生した。



欧米に激怒したプーチン

 これに激怒したのが、プーチンである。

「ウクライナ革命は欧米の仕業だ!」こんな発言をすると、日本では「陰謀論者扱い」だろう。しかし、ロシアでも欧州でも、「ウクライナ革命は欧米がやったこと」は常識である。そして、プーチン自身も、断言している。

 たとえば3月4日の記者会見でプーチンは、こんな発言をした。「西側のパートナー(欧米)が、ウクライナでこれ(革命)をやるのは、初めてではない」。つまり、04年のオレンジ革命も、欧米がやったということだ。

 プーチンは、クリミアの併合を決意した。

 なぜか?理由は二つある。

 一つは、「クリミアにはロシア系住民が多い。彼らは、革命を主導した反ロシアの過激な民族主義者に虐殺される危険がある」というもの。クリミア自治共和国の人口は約200万人。そのうち約6割(約120万人)がロシア人である。ウクライナ新政権について、日本では、「民主主義を求める民衆が『平和裏に』革命を起こした」と報道されている。しかし、実際は、民族主義武装組織「右派セクター」が、政府関連施設や地方自治体を「武力」占拠し、革命に貢献した(気になる方は、YouTubeで「right sector ukraine」で検索してみよう。ウクライナ革命の「平和」なイメージが一気に壊れることだろう)。

 彼らが各地でロシア人を虐待しはじめたことが、プーチンに、「クリミアの同胞(ロシア系住民)を守らなければ!」という大義名分を与えた。そして、ロシア国民の圧倒的大多数が、「軍事介入」とそれに続く「クリミア併合」を支持したのである。

 もう一つは、安全保障上の理由だ。クリミアのセヴァストポリ市には、「ロシア黒海艦隊」がいる。ロシアは、ヤヌコビッチ政権と、「2042年まで黒海艦隊を駐留すること」で合意していた。しかし親欧米新政権は黒海艦隊を追い出し、その後、米軍やNATO軍を入れる意志を示していた。

 ロシアの目と鼻の先に最大の敵・米軍―NATO軍が駐留する。これはロシアにとって巨大な脅威で、プーチンは容認することができなかったのだ。

 そして、クリミアは、あっという間にロシアに併合された。どんなに欧米が制裁を加えようとも、ロシアがクリミアを返すことはないだろう。



ロシアは、ウクライナ東部併合を望むか?



 クリミア併合は、ウクライナ東部のロシア人に希望を与えた。そして、各地で、反新政権デモが起こってきた。ハリコフ州とドネツク州の独立宣言に対して、欧米メディアは「二州の背後にロシアがいて、プーチンはウクライナ東部を全部併合するつもりだ」と報じている。

 しかし、プーチンは3月18日の演説で、「ロシアを利用してあなたたちを脅す人たちを信じないでほしい。クリミアのあと別の地域だと叫んでいるような人たちのことだ 」と語っている。つまり、「クリミア以外の地域を併合する意志はない」ということだ。

 さらに、ラブロフ・ロシア外相は、二州独立宣言後の4月11日、「(クリミア以外の地域の編入は)ロシアの国益に反する。我々はウクライナが今の国境線で統一を維持することを望んでいる」と発言。ロシアを頼りにしていたウクライナ東部のロシア人を落胆させた。その後、彼らの要求が、「住民投票によるロシアへの編入」から「ウクライナを連邦国家にすること」に変わったことから、ラブロフ発言は本気だと思われる。

 少し説明が必要だろう。

 ロシアがどこかの地域を併合する際、最重要の「口実」は、「そこの住民自身がロシア編入を強く求めていること」である。ラブロフの「編入しない」発言が、「ウソ」「フリ」であるのなら、真意(本当は併合したい)は必ずハリコフ、ドネツクのロシア人に伝わり、彼らはさらに声高に「ロシア編入」を叫びはじめるだろう。それが、ロシア編入の口実・環境づくりを後押しするからだ。しかし、彼らの要求はラブロフ発言で変わった。つまり、「ロシアは本当に併合を望んでいない」と理解できるのだ。

 では、なぜロシアは、他の地域を併合するつもりがないのか?理由は次のように、いくつか考えられる。


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「独立」を宣言したドネツク州では連日、親露派住民たちによる集会が開かれている
Photo:AP/AFLO


<民族構成の違い>

 既述のように、クリミア自治共和国の約6割はロシア人。ウクライナ人は25%しかいない。一方、独立を宣言したドネツク州は、ウクライナ人が約6割、ロシア人は約4割。ハリコフ州は、ウクライナ人が約7割、ロシア人は約25%。つまり、公正に住民投票が行われれば、「ウクライナ残留派」が勝利する可能性が高い。

<歴史的経緯の違い>

 ロシア帝国がクリミアを併合したのは、1783年。以後170年以上ロシアに属していた。ところが1954年、ソ連の最高指導者だったフルシチョフが、突然「クリミアをウクライナに移管する」と決めてしまった。

 当時は、ロシアもウクライナも同じソ連の一部だったので問題にならなかった。しかし、ソ連崩壊後クリミアはウクライナ領になり、ロシア人はずっとそのことに怒りを抱きつづけていた。

 一方、独立を宣言したハリコフやドネツクは、少なくともソ連成立以降ずっとウクライナに属していた。要するに、ロシアが両州を「わが国の領土」と主張できる根拠が乏しい。

<経済的理由>

 ハリコフ州の人口は約280万人、ドネツク州は460万人。この2州を併合すると、ロシアの人口は一気に740万人増える。同時に、年金受給者が150万人ほど増えることになる。

 また、併合した地域の住民がそのことを後悔しないために、莫大な投資が必要になる。クリミア併合による資金逃避と経済制裁に苦しむロシアは、この財政負担に耐えられない。

<安全保障上の理由>

 クリミアには、ロシアの「黒海艦隊」があるが、ハリコフ、ドネツクにはない。

 以上の理由で、ロシアがウクライナ東部を併合する根拠もメリットも少ない。しかし、ウクライナ東部の住民たちによる暴動は収まる気配を見せず、冒頭述べたように、犠牲者も出始めている。このまま犠牲者が増えていけば、プーチンは「ロシア系住民の安全確保」を理由に、「平和維持軍」という名目で、軍事介入に踏み切る可能性も出てくるだろう。





きたの・よしのり
1970年長野県生まれ。モスクワ在住24年の国際関係アナリスト、作家。その独特の分析手法により、数々の予測を的中させている。1996年、日本人で初めて、ソ連時代「外交官・KGBエージェント養成所」と呼ばれたロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を卒業(政治学修士)。1999年創刊のメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」(http://www.mag2.com/m/0000012950html)は現在読者数3万6000人。ロシア関係で日本一の配信部数を誇る。主な著書に「隷属国家日本の岐路」(ダイヤモンド社)、「プーチン最後の聖戦」、「日本自立のためのプーチン最強講義」(共に集英社インターナショナル)など。


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