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2015.05.12 ZAKZAK


中国経済が「デフレ地獄」の崖っぷちに立たされている。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備に注目が集まる陰で、不動産バブルは崩壊し、輸出も内需も不振続きなのに、習近平国家主席率いる共産党政府が効果的な対策を取れないのだ。

景気テコ入れのため、中国人民銀行(中央銀行)は10日、昨年11月以降、3度目となる政策金利の引き下げを発表した。

こうしたなか、経済評論家の三橋貴明氏が、信憑(しんぴょう)性を疑われる中国の経済指標と、世界経済を激震させかねない「デフレ輸出」に迫った。

 ロンドンに拠点を置く、世界的独立系マクロ経済リサーチ会社「ロンバード・ストリート・リサーチ(LSR)」のダイアナ・ショイレバ氏によると、2014年の中国の経済成長率(実質GDP成長率)は、共産党政府発表の7・4%ではなく、1・7%に急落しているとのことである。どういうことか。

 そもそも、中国はGDPについて「対前年同期比のみ」を発表し、対前期比の数字は発表していない。中国共産党は4月15日、15年1-3月期のGDP成長率を発表したが、これまた「対前年同期比7%」であった。

対前年同期比で発表されると、4四半期前や3四半期前の結果も入ってしまい、直近の経済状況が把握できなくなってしまう。

そのため、主要国はGDPについて「対前期比」もしくは「対前期比(年率換算)」で実質の成長率を発表しているのだ。

ところが、中国は相変わらず対前年同期比の数字「のみ」を公表し、経済の実態を悟らせないようにしている。

それ以前に、中国は13億人を超す人口の経済成長率を、締め日からわずか2週間で公表するのである。

日米欧などの先進国ですら、GDP統計の発表日は締め日から1カ月以上も後になる。魔法でも使わない限り、13億人規模のGDP統計を2週間でまとめられるはずがない。

 中国経済の専門家の中で、中国共産党政府が発表するGDP統計について、疑念を抱いていない者は1人もいない。

 前出のLSR社は、独自に中国のGDPを計算し、14年平均で4・4%、10-12月期は1・7%に落ち込んでいるとの試算を発表したわけである。

 ところで、中国の3月のPPI(生産者物価指数)は前年比4・6%減と大きく落ち込み、CPI(消費者物価指数)上昇率も1・4%(同)に過ぎない。現在の中国経済は、すでにバブル崩壊から「デフレ化」への道を歩み始めているのだ。

 デフレーションとは、経済の構造が「供給能力>総需要」のデフレギャップ状況になるという話である。

 特に、供給能力過剰がすさまじいのが、自動車分野である。15年の中国の自動車メーカー各社が保有する供給能力(生産能力)は、14年比で2割以上も多い計約5000万台に増える見通しになっている。

それに対し、中国国内の自動車の総需要は2500万台に過ぎない。国内の自動車の供給能力は、総需要の2倍に達しているわけだ。

 もはや、「デフレギャップ」の一言では済まされない、驚異的な生産能力の過剰である。

信じられないかもしれないが、中国には自動車企業が外資系との合弁を含めると、100社以上も存在するのだ。しかも、それぞれの企業に太子党や共産官僚の利権が入っているため、合併や合従連衡も簡単にはいかない。

すでにして、中国国内で自動車の低価格競争が始まっているが、同時に在庫も積み上がっている。

現時点で、中国国内には300万台もの自動車在庫が存在するのである。

今後の中国では、自動車産業こそが経済のデフレ化を牽引(けんいん)することになる。

 15年の中国経済は、デフレ化により経済成長率が低下し(よくてゼロ成長だろう)、外国への「デフレの輸出」を強化していくだろう。

特に、自動車分野では国内で破滅的な価格競争を繰り広げると同時に、低価格を武器に強引に外国市場を開拓し始める可能性が高い。中国の「デフレの輸出」については、法律で規制してでも防止しなければならない。




 ■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『2015年 暴走する世界経済と日本の命運』(徳間書店)『中国との貿易をやめても、まったく日本は困らない!-中国経済の真実』(ワック)、『繁栄の絶対法則』(PHP研究所)など多数。


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